卒業袴スタイルは様々なデザインのバリエーションがあり、見れば見るほど迷ってしまうこともあると思います。
そんな中、毎年注目を集めているのが「レトロ」スタイル。明治時代、ハイカラさんと呼ばれた袴姿の女学生をイメージさせ、最近のファッションにはない特有の魅力があります。
ここでは、そんなレトロな袴スタイルについて、その歴史も振り返りながら、特徴や魅力を深掘りし、選び方や、おすすめの袴・ヘアスタイルなど、様々な観点からご紹介します!
そもそも「レトロ」とは、retrospective(回顧)の略語で「懐古的、復古調」といった意味合いです。
単に「古いもの」という意味ではなく、「どこか懐かしい気持ちをも彷彿させる」というところがポイントになります。
日本の場合は、明治時代や大正時代に着られていた着物などは「レトロ」のイメージとなりますが、戦国時代の頃に着られていた甲冑などあまりにも古すぎて、思い返せるようなものがない場合は「レトロ」とは呼べません。
また、「レトロ」は「モダン」の対義語にあたり、エッジの利いている最先端のモードな雰囲気とは対極的な場所に位置します。
この項目では、レトロな袴について説明するまえに、袴の歴史を振り返ります。
袴は明治から大正時代にかけて、女学生たちのシンボルともいえるものでした。そして今では卒業式の定番姿となっています。どのような歴史をたどり今に至ったのかご紹介します。
袴の歴史は遡ると非常に古く、古墳時代にはそのプロトタイプともいえる、太いズボンのような袴を身につけていたといわれており、当時作られた埴輪にもその姿は反映されています。
平安時代になると、袴は宮廷に仕えていた高い身分の女性たちが十二単の一部として身につけていた衣服でした。
武家社会では武士の礼服として着られましたが、江戸時代には身分や性別によって厳しく身なりが定められたため、女性たちは袴を身につけることが禁じられてしまいましたが、
その中で唯一、例外だったのが宮廷の女官たちです。
彼女たちを除く当時の女性は、丈や袖の長い着物に、幅の広い帯を巻いていました。
出展:【袴の由来や歴史】女性と袴の歴史 | 総合貸衣装 袴美人.com(最終閲覧日:2019年12月10日)
出典:「国立国会図書館デジタルコレクション」より『怪化百物語.下』
明治に入ると、女子教育が黎明期を迎え、東京女学校や東京女子師範学校などが相次いで創立されました。
そこで、女学生たちにどのような服装をさせるかが議論され、当時の学校では、欧米式のいすに座って授業を受けるスタイルが一般的になり、従来の着物に帯というスタイルでは、帯や裾が乱れやすいという問題がありました。
そのため、政府はこの時代としては例外的に女子学生たちに男性用袴の着用を認めました。しかし、この男性用袴着用は、明治12年から15年のわずか3年あまりと短い期間で着用は禁止され、江戸期の小袖姿に逆戻りしました。
その要因は、男性用袴を身につけた女学生の姿に違和感があり、世間から反発が起こったからです。
当時の新聞には「女子といふものは髪形から着物までも艶くして総てやさしいのが宜いとおもひますに 此節学校へかよふ女生徒を見ますに袴をはいて 誠に醜くあらあらしい姿をいたすのはどういうふものでありますか」(読売新聞 明治8年10月8日)
などと記載され、このような批判が相次いだことから、女学生の男性用袴着用は早い幕引きとなり、従来通りの着物に帯のスタイルに逆戻りしました。
その後、いっときの間は洋装の流行も見られましたが、国粋主義の流れの中、値段も高かった洋装は下火となり、再び和装に回帰しました。着物に帯の服装では学業に支障をきたすこともあったため、少しずつ教師や女学生の間で袴の着用が広がっていきました。
女性用袴のはじまりは、明治18年創立の学習院女子部の前身である華族女学校といわれており、学監の下田歌子が宮中の袴をもとに、制服として機能性と優美さを備えた女性用袴を発案したとされています。
着物に帯のスタイルでは庶民的で礼容にそぐわないとの意向もあったようで、股に仕切りがなく、ロングスカートのような形の行灯袴(あんどんばかま)と呼ばれる女性用袴が制服として採用されたようです。
また、上流家庭の子女が多く通っていた跡見女学校も、早いうちから「お塾袴」と呼ばれる紫色の女性用袴を着用しており、その特権階級ともいえる彼女たちの袴姿は「女学生」という身分の象徴であり、多くの女子たちの憧れだったようです。
そうして明治30年ごろから、その袴姿が急速に広まり、女学生のスタイルが完成されていきました。
彼女たちは、江戸期のしっとりとした女性像とは様変わりし、袴姿で颯爽と歩き、自転車に乗ったり、テニスをしたりと、生き生きとした活動的な女性像へと、変わっていきました。
出典:国立国会図書館所蔵『新版引札見本帖.第1』
明治30年以降、女学生の間でこの袴姿は急速に広まっていきます。
当時女学生の間で大流行したのは「海老茶色」の袴。そのルーツは華族女学校だといわれています。
同校が女性用袴を制服として採用し、袴の色は「海老茶色」と定められ、これらは同校のシンボル的存在となりました。
そんな彼女たちの袴姿を紫式部になぞらえて「海老茶式部」と呼ばれることもありました。
その後、当時の女学生の象徴となったその袴姿は、女学生だけにとどまらず、全国的に広がり、それまでの帯や洋装のコルセットから女性たちを解き放ち、新しい時代を生きる女性の象徴となりました。
また、雑誌のグラビアに描かれたり、新聞小説のヒロインになったりと、社会的にも注目を集める存在でした。
出展:【袴の由来や歴史】女袴の誕生秘話 | 総合貸衣装 袴美人.com (最終閲覧日:2019年12月10日)
華族女学校がルーツとされる海老茶色の袴は当時の女学生に大流行しました。
大正から昭和にかけて、本格的な洋装化が進むとともに、袴を含む和装姿は日常社会から消えていきました。
しかし袴姿は、卒業式の礼装として現代の女性たちにも今なお根強く支持されています。
出展:【袴の由来や歴史】女袴の誕生秘話 | 総合貸衣装 袴美人.com (最終閲覧日:2019年12月10日)
丸昌の袴レンタル「レトロライン」は袴の全盛期だった、大正時代をイメージしたクラシカルなスタイルです。
ノスタルジックな雰囲気の中にも、唯一無二の個性を放つデザインとなっております。
当時の雰囲気を感じながら、その時代を駆け抜けた女性たちのように、生き生きした袴姿を楽しんでみてはいかがでしょうか。
出展:卒業袴で人気の「レトロ柄」について深堀り! | 総合貸衣装 袴美人.com (最終閲覧日:2019年12月10日)
レトロな柄の代表的な例としては、上の写真の幾何学模様があげられます。幾何学模様は、ひとつの文様が規則的に配置されたもので、ストライプやドット、ブロックチェックなどもそのひとつです。
これらは規則的に柄を配置されているので、どこか単調で、レトロな印象を演出してくれます。
出展:卒業袴で人気の「レトロ柄」について深堀り! | 総合貸衣装 袴美人.com (最終閲覧日:2019年12月10日)
花などが描かれる場合、本物に近い写実的な描き方ではなく、要素を簡略化したシンプルな描き方をされる傾向にあります。
そのため緻密さや繊細さはあまりありませんが、独特のユルさやラフさがあり、それがレトロ柄ならではの特徴と言えるでしょう。
上の画像ですと、左側の花柄の方がよりレトロな印象を感じられるのではないでしょうか。
赤矢羽根柄は「正統派」なレトロで、日本女子の奥ゆかしさを併せ持つハイカラな印象がポイントです。
矢羽根は名前の通り、矢の上部につける、鷲、鷹、鳶などの羽根のことで、「矢羽」(やば)ともいいます。
形や羽の斑文の面白さもあり古くから文様化されました。さまざまなバリエーションが見られますが最も有名なものは、上の画像にあるようなパターンでではないでしょうか。
この模様は、江戸時代、大名家の奥女中の制服として扱われていたもので、その歴史からもレトロな雰囲気が現れています。
大胆に描かれた大矢絣、その色もカラフルに彩られとても珍しい袴となっております。黒地にカラフルな大矢絣が映え、煌めが一層ましてきます。
矢絣のレトロさを残しつつも、華やかさを取り入れた、個性的な印象を愉しむことができる一枚です。
矢絣とは、矢羽を図案化した文様のことで、日本でも非常に古くから親しまれていた文様です。
江戸時代では、「一度射た矢は戻って来ない」ことから、結婚の際に持たせる着物の柄として使用されていた、とても縁起の良い柄です。
互い違いに敷き詰めた二色の正方形が並べられた市松柄。江戸時代に流行した柄として有名ですが、古くから石畳文様、霰文様とも呼ばれ、宮中では有職文様として用いられたり、正倉院の織物にもみることができる伝統的な文様です。
シンプルでいて、飽きのこない模様で、今なお様々なものに取り入れられている模様です。
こちらの袴は、カラシ色でまとめた配色から、菊文の描き方、市松文様と、全体的にレトロな可愛らしさを醸し出しています。シンプルかつ、粋なデザインを加えた、こだわりの一枚です。
上の画像のような、クリームがかった淡い色合いのものや、少し色褪せた風合いのものは、どことなくレトロな雰囲気を演出してくれます。
白は、真白ではなくベージュがかった色、有彩色はグレーを混ぜた彩度が低めのくすんだ色がレトロ感のある色になります。
時間の経過とともに徐々に色褪せていった古い写真や紙などを見た際、どこか「レトロ」な印象を感じてしまうように、袴の色でもその要素を取り入れると「レトロ」な雰囲気になるのではないでしょうか。
レトロな袴の色合いを押さえたら、次は袴と着物の組み合わせによる印象の違いについてご紹介していきます。
袴は和装の中でも唯一上下でコーディネートを楽しむことができる装いです。この章では袴スタイルのコーディネートの中でも、印象を左右する「配色」について掘り下げて行きます。
袴スタイルの場合、着物と袴を「同系色」で合わせるか、「反対色」で合わせるか、を考えるのがコーディネートの基本となっています。
例えば「同系色」ならば、水色の着物に紺色の袴、ピンク色の着物にはエンジ色の袴といった組合せ。「反対色」ですと、赤色の着物に緑色の袴、黄色の着物に紫色の袴といった組合せが一般的です。
出展:袴姿の印象を左右する「配色コーディネート」 | 総合貸衣装 袴美人.com(最終閲覧日:2019年12月10日)
上の写真の袴はこちらでご紹介しております。エンジの袴 緑色の袴 黄色の袴 深緑色の袴
反対色で着物と袴を組み合わせると、全体にメリハリが生まれ、個性的な印象のコーディネートになります。
このコーディネートの場合は、お互いの色が強調され合うため、強いインパクトで目を引くような印象になります。
普段着られている洋服ですと、バランスをとるのが難しく、TPOを選びがちな組合せですが、袴スタイルの場合は問題ございません。
意外な色同士が案外相性が良いことも多く、すごくオシャレな雰囲気になったり、袴ならではの配色の面白さがわかるはずです。
袴姿の卒業生がたくさんいる中で埋もれたくないという、自分らしさをアピールしたいという方には、おすすめコーディネートです。
上の写真の袴はこちらでご紹介しております。紫色の袴 紺色の袴 ピンク色の袴 深紫の袴
着物と袴を同色系で組み合わせると、すっきりとした印象になり、上品で落ち着いた印象のコーディネートになります。
この場合、暖色系だと優しげに、寒色系だとクールにまとまります。
普段からシンプルなワントーンコーデのようなスタイルが好きな方におすすめのコーディネートです。
丸昌では袴のみ、着物のみの単体のレンタルもできます。
袴のみを単体でレンタルする場合は、オプションとして袴帯も無料でレンタルできるので、わざわざ用意していただく必要はございません。
着物は持っているから袴だけレンタルしたい…。袴を持っているから着物だけレンタルしたい…。という方
是非単品レンタルをご利用ください。
レトロな着物と袴をレンタルするなら、是非レトロな髪型を取り入れみてはいかがでしょうか。
こちらのセクションではレトロな袴をより魅力的に見せるような、ヘアスタイルをご紹介していきます。
出展:「ショート」や「ボブ」でも出来る!袴スタイルに似合うヘアアレンジ | 総合貸衣装 袴美人.com (最終閲覧日:2019年12月10日)
いきいきとしたショートヘアを活かした大人びた清楚アレンジ。
バックはハーフアップ風にすっきりとまとめ、髪飾りは大きい花柄のものを取り入れ華やかさをプラス。
髪飾りの色と袴の色を合わせて、統一感のある上品でスッキリとした印象です。
出展:「ショート」や「ボブ」でも出来る!袴スタイルに似合うヘアアレンジ | 総合貸衣装 袴美人.com (最終閲覧日:2019年12月10日)
日本人の美しい黒髪を活かしたボブスタイルは、シンプルにそのまま和風のテイストの髪飾りをプラス。
特別なアレンジをしない分、髪飾りは大きくレトロ感のあるものをチョイス。鮮やかな赤色とシックな黒色の2トーンをメインにきれいにまとまったスタイルです。
出展:卒業式の髪型 [ロングヘア編] ダウンに下したヘアアレンジバリエーション | 総合貸衣装 袴美人.com(最終閲覧日:2019年12月10日)
【Back】ねじった髪で立体感を出し、後ろ姿にアクセントをプラス。片方にだけ大き目な髪飾りを。
【Side】耳の上のサイドの髪をねじってトップの髪と留めると横顔がスッキリとした印象になります。
ストレートの黒髪が活かした、清楚な大和撫子スタイル。
着物の柄の色と袴の色、髪飾りの3つの色を合わせ、シンプルに上品にまとめたアレンジです。
出展:卒業式の髪型 [ロングヘア編] ダウンに下したヘアアレンジバリエーション | 総合貸衣装 袴美人.com (最終閲覧日:2019年12月10日)
【Side】顔まわりのサイドはツイストしながら逆サイドで留める。
【Back】ツイストしたことによって立体感ができ、後ろ姿に表情をプラス。ロングの黒髪ストレートが美しく際立った印象的なスタイルです。
まっすぐに伸びた黒髪が美しく際立った、ちょっぴりクールなスタイル。長い黒髪に髪飾りの赤が鮮やかに映え、シンプルかつ印象的なアレンジです。
丸昌の袴レンタルのラインナップには、流行に左右されない純古典柄の伝統的なスタイルな「トラッドライン」、モダンテイストで着る人を選ばないポピュラーなスタイルの「スタンダードライン」、金や銀の刺繍が織り込まれた上質で豪華なスタイルの「プレミアムライン」、そして大正ロマンをイメージしたクラシカルなスタイルの「レトロライン」の4つのラインナップでご用意しております。
丸昌の「レトロライン」は、女学生達の袴姿が定着してきた大正時代をイメージして、当時の袴姿を継承した正統派レトロスタイル。
どこか懐かしさ溢れるレトロな着物を着て、当時の女学生たちの気分を味わって頂きたい。そんな思いのもと『学び舎に合うレトロ』をテーマにラインナップを用意しています。
ただ当時のものを再現するのではなく、ノスタルジックな印象を出してくれる「くすんだ色合い」・「小紋調の柄」などのレトロな特徴は押さえつつも、唯一無二の個性を放つ。そんな袴スタイルがレトロラインの特徴です。
丸昌の「レトロライン」で懐かしくも可愛らしいレトロな装いを是非楽しんでみてください。
着物単体価格 | 22000円 |
袴単体価格 |
8800円 |
着物・袴セット価格 | 35200円 |
菊や梅といった吉祥文様を、可愛らしくレトロにまとめた一枚です。
地色に黒を使用することで、花々の黄色や赤が美しく映えて、組紐が全体に躍動感を与えることで黒でも重々しい印象を与えず、若さに溢れています。
華奢で細かな線で描かれている菊は、長寿を象徴した花として、日本でも吉祥文様として愛されてきました。
また小ぶりにちょこんと描かれた梅が可愛らしい一枚です。
着物単体価格 | 33000円 |
袴単体価格 |
13200円 |
着物・袴セット価格 | 46200円 |
シックで淡い印象の赤色生地に、大きく描かれた菊と扇面模様が優美な一着となっています。
扇面模様は、扇や末広などとも呼ばれ、末広がりで縁起の良い模様とされています。
扇面に描かれた七宝は、平安時代から描かれている有識文様の一つで、公家の装束や調度などにも用いられた格調高い柄であり、着物をよりエレガントなものにしています。
着物単体価格 | 27500円 |
袴単体価格 |
14300円 |
着物・袴セット価格 | 41800円 |
落ち着いた紫の生地に描かれた色味を抑えたシックな菊と、鹿の子模様で描かれた桜が大人びた印象を与え、これから社会人となる女性にぴったりな袴スタイルです。
菊や桜の色味は押さえられ、落ち着いた、大人っぽい着物へと仕上げています。桜に使われている鹿の子模様がレトロな一枚です。
着物単体価格 | 44000円 |
袴単体価格 |
14300円 |
着物・袴セット価格 | 58300円 |
格子模様の地柄に散りばめられた源氏香は風流にあふれ、レトロで個性的な一枚です。
香を聞き分ける遊び「源氏香」で使われる、香りの組み合わせを示す図案「源氏香之図」を描いた着物です。
日本の伝統を描いた、風流で粋な柄です。
着物単体価格 | 33000円 |
袴単体価格 |
11000円 |
着物・袴セット価格 | 44000円 |
細く美しい線で描かれた花々は、まるで凛とした女性を表すかのようです。
濃厚なグリーンの地色に配されたのは、淡い色彩で描かれた菊や桜。吉祥の文様を華奢に美しく散りばめました。
地色の重さと、花々の色の軽やかさが調和した上品な一着です。
この記事では「レトロ」な袴について、袴の歴史から、レトロな袴を選ぶ際のポイント、人気なレトロな袴、そしてレトロな髪型に至るまで、様々な視点で掘り下げて参りました。
一言にレトロな袴といっても様々な要素が折り重なり、レトロな雰囲気の袴スタイルになっていることがお分かりいただけたのではないでしょうか。
丸昌のレトロラインは女学生たちの袴姿が定着してきた、大正時代をモチーフとして、当時の息吹を感じられる正統派のレトロとなっています。
女学生たちの象徴ともいえる袴姿で、大学生活を締めくくる最後の日を最高の想い出にできるよう、自分にピッタリの袴を選んでみてください。
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